飲み物をこぼしたノートパソコン緊急対処(まずはデーター復旧を優先した応急処置が必要です)
キーボードの上からまともに液体をこぼした場合どうしたらよい?
大まかな修理の流れは2. ~ 4. までの3工程
- 応急処置・緊急対処
- パソコン分解
- パーツ(部品)洗浄
- 乾燥
今回分解清掃を引き受けたのは、全ての水を拭き取ったあとの項番2.からです
1.応急処置・緊急対応
データは大丈夫?
以下は一般的な話で、(砂藤など)水以外の不純物を含んだ飲み物など液体の場合の応急処置も同様の対処方法となります
溢した直後、出来るだけ早いうちに水を拭き取ることです!
電源が入っている場合にはコンセント・ACアダプタを抜くと同時にバッテリーも外してください
こんな時には悠長にPCのシャットダウンをしている場合ではありません
パソコンの電源が入った状態は基板には電流が流れています、正常な(予期された)状態であれば全ての電流がコントロールされているので問題ありませんが、この危機的な環境条件の下ではどのような漏れ電流がどの部分・部品にかかるか保証の限りではないからです
その後の処置はデータが収められているHDDに液体が染み込むことを防ぐことが最優先です
データ復旧を優先するためパソコンの中のHDDの位置が分かればこの部分を高い位置にしてPCを保持します
そしてパソコンから液体がこぼれなくなるまで液体を拭き取りながらこの状態を保ちましょう
パソコンから液体が滴り落ちる状態がなくなるまでは長くても数分(液体の粒度によっても違う)と思われます
2.パソコン分解
以下は実際に富士通製ノートパソコン
品名:LIFEBOOK AH550/3B
型名:FMVA553BBF
の分解清掃を行った際の写真です
PCを裏返した状態でこの写真左下がHDDの位置です
HDDは+ネジ2本でとめられていますが簡単に取り外すことができます
HDDが唯一外部と繋がる(水が入る可能性がある)空気フィルター部分
シーゲート社HDD WesternDigital社HDD
水没でもしない限り、複雑な内部筐体を蔦って、HDDの内部にまで液体が入り込むことは考えにくいのでデータは無事の場合が多いのですが、こればっかりは保証はありません
普通ノートパソコンの場合に飲み物をこぼす割合が一番高いキーボード部分を分解します
このパソコンの場合キーボードの取り外しは右上にキーボードを止めているネジを覆うパネルを外します
写真のように隙間にマイナスのドライバーを差し込みこじるように持ち上げ上に引っ張り上げると面白いように順番に爪が外れていきます
このパソコンは爪のひっかりが浅いので難しくはありませんが、無理をしないようにしましょう
ドライバーが刺さっている+ネジ5本を外します
キーボードを持ち上げて裏返した状態
キーボードはフレキシブルコネクターで基板と接続されています
コネクターつめは破損し易いのでドライバーを使うより、爪で押し上げて外した方が破損せずに済みます
注意しましょう!
3.パーツ(部品)洗浄
そして液体が一番かかりやすいキーボードはこれ以上分解出来ません
無水エタノールを浸したバットに浸して洗浄します
超音波洗浄機がない場合はジップロックに洗浄液を満たし、密閉してしゃかしゃかふって汚れを落とすのもありかも(最悪の場合はキーボード一式部品交換となります)
最後は無水エタノールを流しながら液体&不純物を洗い流します
この無水エタノールはエタノール(C2H6O)99.5vol%以上の純粋アルコールです
不純物が混じっていない分、酒税が高く設定されており薬局では500ml1000円以上とかなりお値段は高いものです
医療用消毒液として同じ成分のものがあります、こちらの方は500ml500円と酒税免除されている分お値段がリーズナブルなので手に入れられる方はこちらの方がお勧めです
その他、CPU・FAN・基板を清掃するためには下記筐体の止めネジ(赤丸)を外して分解します
バッテリーを外して出てくる+ネジも忘れずに外してください
清掃はキーボードと同様に無水エタノールに浸した上で大まかな不純物を洗い流し、最後に流無水エタノールをかけ流しですね
コーヒーや砂糖など不純物を多く含んだ液体の場合は丁寧に不純物を取り除きましょう
基板に不純物が固形化付着してしまった場合には超音波洗浄が有効です
時間が経過し不純物が完全に固まった状態では容易には不純物を流せなくなります
よくコーヒーをこぼして乾かしたけれどパソコンが起動しないので持ち込まれることがあるのですが、固形物が固まる前であれば無水エタノールで容易に流せます。お茶・コーヒー・紅茶などの不純物を含んだ液体の場合には乾かすだけでは対処できません、腐食の原因となるので必ず不純物を洗い落としてください
4.乾燥
最後に部品を乾燥させて分解清掃作業は終了です
この際、夏場の高温多湿での環境は特に厳しいのですが、無水エタノールから部品を引き揚げ、ドライヤー等の風を当て乾燥させると気化熱で部品から熱が奪われ、高温多湿の水蒸気環境では部品に結露を生じさせます
恒温槽で低湿度の状態を作り乾燥させることが有効と考えますが、環境が準備できなければエアコンの除湿された部屋で、低湿度状態を作り乾燥させることをお勧めします
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